外壁リフォームにはさまざまな方法がありますが、カバー工法は既存の外壁の上から新しい外壁材を重ねることで、住まいの見た目や機能を刷新できるのが特徴です。特に、断熱効果の向上を期待してカバー工法を検討する方もいますが、実際のところはどうなのでしょうか。
この記事では、外壁カバー工法が断熱効果に与える影響について詳しく解説。合わせて工事の際に注意すべき点もご紹介します。
外壁カバー工法とはどんなリフォーム方法?
外壁カバー工法は、現在ある外壁の上から新たな外壁材を重ねて仕上げるリフォームの手法です。
外壁のリフォームには、他に外壁塗装と張り替えという選択肢があります。塗装は外観を美しくすることが主な目的であり、外壁の機能的な修復は行えません。一方、張り替えは外壁を一新できますが、費用と工期が比較的大きくなり、2025年4月からの建築基準法改正によって確認申請が必要となるケースも出てきます。これに対し、カバー工法は既存の外壁が持つ機能を維持させつつ、費用と工期を抑えることができるリフォーム方法といえるでしょう。
しかしながら、カバー工法では外壁が二重構造となるため、建物にかかる重量が増加し、地震の際の耐震性に影響を与える可能性も考慮する必要があります。そのため、多くの施工業者は軽量な金属サイディング材の使用を推奨しています。金属サイディングは、その軽さに加えて、耐久性や防火性にも優れており、カバー工法に適した外壁材といえます。
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外壁カバー工法による断熱性能向上で得られるメリット
リフォームによって住宅の断熱性能を高めることは、私たちの暮らしに様々な恩恵をもたらします。具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
一年を通して快適な室温を維持
外壁カバー工法によるリフォームは、住まいの断熱性を高め、一年中心地よい室温を保つことに役立ちます。住宅設備メーカー・LIXILのデータによると、夏場に外壁から侵入する熱は約7%、冬場の暖房時に逃げる熱は約15%とされています。
これらの数値だけを見ると少なく感じるかもしれませんが、夏の熱の侵入を抑えることで室温の上昇を緩やかにし、エアコンの効率を高める効果があります。近年の厳しい暑さにおいては、わずかな熱の侵入も体感温度に大きく影響するため、その効果は決して小さくありません。一方、冬場においては、熱の損失を防ぐことで暖房効率が向上し、光熱費の削減にもつながります。
※出典:LIXIL ビジネス情報 | 省エネ性能の説明義務制度のポイントを理解しよう!
外壁の断熱性能が低いと、室内の壁の表面温度が外気温の影響を受けやすくなります。私たちの体感温度は、室温だけでなく、壁や床、天井といった室内の表面温度にも左右されるため、外壁の断熱性能を高めることで、外気温に左右されにくい快適な室内環境が実現するのです。
結露の発生を抑制し、住まいの耐久性を向上
室内の暖かさと外の寒さの差が大きいと、壁の内部で結露が発生しやすくなります。この結露が問題となるのは、カビの発生を招く原因となるからです。発生したカビは、住宅の骨組みである柱や梁を腐食させ、結果として家の耐久性を損なう可能性があります。
窓にできる結露とは異なり、壁内部の結露は拭き取ることができません。そのため、外壁の断熱性能を向上させることは、壁内部の結露を防ぎ、住まいの寿命を長く保つために重要な対策といえるでしょう。
ヒートショックのリスクを軽減
ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心臓や血管に大きな負担がかかることで起こる健康被害です。特に冬場に多く発生し、失神、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こす可能性があります。
暖房の効いたリビングから、暖房のない廊下やトイレ、脱衣所などへ移動する際の急激な温度変化は、ヒートショックを引き起こす要因となります。外壁の断熱効果を高めることで、暖房を使用していない部屋の温度低下を抑え、家全体の温度差を小さくすることができます。これにより、温度変化による体への負担が軽減され、ヒートショックのリスクを低減し、ご家族の健康を守ることにもつながります。
外壁カバー工法で断熱効果が向上する理由
外壁カバー工法によるリフォームは、住まいの断熱効果を高める有効な手段となります。その主な理由を2つご紹介しましょう。
外壁が二重構造となり、空気層が断熱効果を発揮
外壁カバー工法では、既存の外壁の上に新たな外壁材を重ねるため、二つの外壁の間に空気の層が形成されます。この空気層は、熱の伝わりを抑制する断熱材と同様の働きをします。空気は熱を伝えにくい性質を持つため、外部の暑さや寒さが室内に侵入するのを効果的に防ぎます。
これは、断熱性の高い窓ガラスに空気層が設けられているのと同様の原理です。さらに、室内の暖気や冷気が外部へ逃げるのを防ぐ効果も期待でき、一年を通して快適な室内環境を維持しやすくなります。
外壁材そのものが高い断熱性能を保持
外壁カバー工法で広く用いられる金属サイディングは、金属であるため一般的には熱を通しやすい性質を持ちます。しかし、現在主流となっているのは断熱材と一体化した製品です。断熱材一体型の金属サイディングの断熱性能は、窯業系サイディングの約2.3倍、モルタル外壁の約3.8倍にも達します(※アイジー工業アイジーサイディングの場合)。
既存の外壁の断熱性能に加えて、新しい金属サイディング自体の断熱性能が加わることで、住まい全体の断熱性は飛躍的に向上します。
外壁カバー工法の注意点
外壁カバー工法は、住まいの性能向上に役立つ一方で、いくつかの注意点があります。工事後のトラブルを避けるため、事前に確認しておきましょう。
通気性の確保が重要
外壁カバー工法によって形成される二重構造の空気層は、通気性が不十分だと湿気がこもりやすく、結露のリスクを高めます。結露は、カビの発生や構造体の腐食につながるため、適切な対策が求められます。
そこで重要になるのが、外壁材を固定するための下地材である胴縁(どうぶち)の施工です。一般的に、外壁材を横張りにする際には、胴縁を縦向きに設置します。これにより、空気が上から下へと自然に流れ、通気性を確保することができます。
一方、外壁材を縦張りにする場合には、胴縁を横向きに設置しますが、その際には溝付きの通気性胴縁を使用することで、同様に空気の通り道を確保し、湿気対策を行います。適切な胴縁の施工は、カバー工法の耐久性を高める上で非常に重要です。
外壁の状態によっては施工できない場合も
外壁カバー工法は、既存の外壁の状態によっては適さないことがあります。大きなひび割れや下地の腐食が著しいなど、劣化が進行している場合は、カバー工法が更なる負担となり、結果的に張り替えが必要になることもあります。
しかしながら、一般の方がご自身の住まいの状態からカバー工法が可能かどうかを判断することは困難です。必ず専門のリフォーム業者に調査を依頼し、最適なリフォーム方法を判断してもらうことが大切です。
屋根のリフォームも同時に行うとより効果的
住宅全体の断熱性能を向上させるためには、屋根も合わせてカバー工法でリフォームすることが推奨されます。熱の出入りは、外壁からが15%、屋根からは5%というデータがあります。侵入する熱量で見ると、屋根が11%、外壁が7%です。つまり、外壁と屋根を同時にカバー工法でリフォームすることで、熱の流出入を効率的に抑制できるのです。
さらに、屋根も外壁と同様に、紫外線や雨による経年劣化が進行します。同時にリフォームすれば、足場代の節約や業者選定の手間を省くことができます。単独で外壁をリフォームするよりも費用は増加しますが、屋根も一緒に手を入れることで、より多くのメリットが得られるでしょう。
専門知識を持つ業者への依頼が不可欠
外壁カバー工法を成功させるためには、専門的な知識と熟練した技術が不可欠です。外壁の状態を正確に判断できないと、結露の発生や既存の外壁への過度な負担といった問題を引き起こす可能性があります。
業者選びにおいては、ホームページなどで施工実績や外壁リフォームに対する考え方をしっかりと確認しましょう。豊富な実績はもちろんのこと、顧客の声や具体的な施工方法を詳細に公開している会社であれば、安心して任せられる可能性が高いといえます。
外壁カバー工法には「アイジーサイディング」がおすすめ
外壁カバー工法に適した金属サイディングは数多くありますが、その中でも特に多くの専門家から信頼を得ているのが、アイジー工業の「アイジーサイディング」です。
特徴1:厚い断熱材による優れた断熱性能
アイジーサイディングの特筆すべき点は、わずか0.35mmのガルバリウム鋼板と15mmもの厚さを持つ断熱材が一体となっていることです。この構造によって、薄型でありながら非常に高い断熱性能を発揮します。
参考までに、アイジーサイディングと同等の断熱性を確保しようとすると、窯業系サイディングでは84mm以上、モルタルに至っては598mmもの厚みが必要となります。
特徴2:雨水と湿気に対する強固な対策
独自の接合部と防水材の組み合わせにより、雨水の侵入をしっかりと防ぐ設計となっています。仮に雨水が内部に浸入してしまった場合でも、下地を通じて外部へ排出される仕組みが備わっています。
さらに、室内の湿気を効率的に外部へ逃がす構造により、壁内部での結露発生を抑制します。このような独自の構造が、外壁カバー工法における懸念点を解消する鍵となります。
特徴3:軽量設計による安全性向上
アイジーサイディングは、窯業系サイディングやALCパネルと比較して、重量が約1/3から1/10と非常に軽量です。カバー工法では外壁が二重になるため、建物への負荷増加は避けられませんが、アイジーサイディングを採用することで、その負担を最小限に抑えることが可能です。建物への負荷が少ないことは、地震発生時の揺れを軽減し、住まいの安全性を高めることに繋がります。
外壁カバー工法で住まいの断熱性を高めるなら、サーラハウスサポートにおまかせください
外壁カバー工法によるリフォームは、住まいの外観を美しく刷新するだけでなく、断熱効果の向上にも大きく貢献する優れた選択肢です。断熱性の向上は、日々の暮らしにおける快適性アップや健康維持、さらには住宅の寿命を延ばすことにもつながります。
東海地方で外壁カバー工法を手掛けるサーラハウスサポートは、高品質なアイジーサイディングを採用しています。長年培ってきた確かな技術力で、お客様の住まいをより快適で過ごしやすい空間へとアップデートいたします。外壁のリフォームをご検討の際は、ぜひ一度サーラハウスサポートまでお気軽にご相談ください。