ブログBLOG

屋根カバー工法に火災保険は使える?適用条件や使えないケースを徹底解説

強風被害で屋根が破損した家屋

台風や強風、雹(ひょう)などの自然災害で屋根が傷んだとき、「火災保険は使えるの?」「どんな修理方法なら申請できる?」と疑問に思う方は多いはず。しかし実際には、補償の範囲や最適な修理方法が分からず、判断に迷ってしまうことも少なくありません。
この記事では、屋根修理の代表的な手法である「カバー工法」と「葺き替え」の違いをはじめ、火災保険の基本ルールや申請できる具体的なケース、手続きの流れまで、ポイントを整理して分かりやすく解説します。

屋根カバー工法とは?葺き替えとの違い

屋根と外壁リフォーム中の住宅

まずは、火災保険の申請にも関わる「修理方法の違い」を押さえておきましょう。どの工法を選ぶかによって、工事内容はもちろん、最終的な自己負担額も変わってくるからです。
屋根の修理方法は、大きく「カバー工法」と「葺き替え(ふきかえ)」の2種類に分けられます。どちらも破損を直す工事ですが、費用や工期、メリットが異なるため、お住まいの状況に合わせて選ぶことが大切です。
なお「屋根塗装」は、表面の防水性や美観を保つためのメンテナンスです。割れや欠けといった物理的な破損の修理ではないため、今回のテーマである修理工事とは区別して考えます。

カバー工法(重ね葺き)

古い屋根材を撤去せず、その上から防水シートと新しい屋根材を重ねて(かぶせて)施工する方法です。解体や撤去の手間が少ない分、工期が短く、費用も抑えやすいのが最大のメリット。屋根が二重構造になることで、断熱性や遮音性も向上します。
ただし、下地が激しく傷んでいる場合や、瓦屋根の場合は施工できないことがあります。また、屋根の重量が増えるため、構造に負担がないか事前に専門業者に確認してもらう必要があります。

葺き替え工事

既存の屋根材をすべて撤去し、下地の補修や防水シートの張り替えを行ったうえで、新しい屋根材を施工する方法です。屋根を丸ごと新しくするため、耐久性と安心感は最も高い工事といえます。また、軽量な屋根材に替えることで、耐震性の向上も期待できます。

一方で、廃材の撤去・処分費が発生するため、カバー工法に比べると工期が長く、費用も高くなる傾向があります。予算と求める性能のバランスを考えて選ぶことが大切です。

▶【関連記事】
屋根カバー工法で後悔しないための完全ガイド【メリット・デメリットや失敗例も解説】
屋根カバー工法おすすめ商品ランキング!選び方や費用相場も解説

【火災保険の基本知識】どんな場合に補償されるの?

疑問に思う女性

カバー工法に火災保険が使えるかを判断する前に、まずは「火災保険がどんな損害を補償しているのか」を知っておきましょう。「火災保険」という名前から「火事だけが対象」と思われがちですが、実は住まいを取り巻くさまざまな自然災害やトラブルも補償の対象になります。特に屋根の修理に関しては、以下の3つの災害が深く関係しています。

屋根修理で関係するのは「風災・雹災・雪災」

屋根の補修で火災保険が適用される可能性があるのは、主に次の3つです。

・風災
台風・強風・突風・竜巻などが原因で、屋根材が飛散したり、棟板金(屋根のてっぺんの板)が浮いたり剥がれたりした場合に補償されます。アスファルトシングルのめくれや、スレート屋根のひび割れなども、強風が原因であれば「風災」として認められるケースがあります。

・雹災(ひょうさい)
雹(ひょう)が勢いよく降り、屋根材に割れ・へこみ・穴あきなどの損傷が生じた場合が対象です。スレートや金属屋根など、素材に関わらず被害を受けやすいため、激しい雹が降った後は早めの点検をおすすめします。

・雪災
積雪の重み(荷重)で屋根が歪んだり破損したりした場合が対象です。また、屋根そのものだけでなく、落雪や雪崩によって雨樋(あまどい)が曲がったり壊れたりした被害も「雪災」として扱われます。

保険会社や契約プランによって補償の範囲や条件が異なるため、ご自身の保険証券で「何が対象になっているか」を事前に確認しておくと安心です。

屋根カバー工法に火災保険は適用できる?

火災保険のイメージ図

結論からお伝えすると、火災保険で認定された金額を、カバー工法の費用の一部に充てることは可能です。

ただし、ここで重要になるのが、火災保険の「現状復旧」という基本ルールです。火災保険は、あくまで「被害を受けた部分を元の状態に戻す(修理する)ための費用」を補償するもの。一方、カバー工法は屋根全体を新しくする「グレードアップ(機能向上)」を含む工事です。そのため、グレードアップ分を含むカバー工法の見積もり全額が、そのまま認められることは基本的にありません。

認定された金額を「資金の一部」として活用する

ここでポイントとなるのが、「下りた保険金の使い道は、必ずしも申請通りの修理に限定されない」という点です。
具体的な流れとしては、まず「被害箇所を元に戻すための修理費用(部分補修など)」として申請を行います。そこで受け取った保険金を「リフォーム資金の足し」にして、足りない分を自己負担してカバー工法を行います。これは正当な保険の活用方法です。
単なる部分補修で終わらせず、この機会に屋根全体をリフレッシュさせたい方にとって、保険金はリフォーム負担を減らす大きな助けになるはずです。

火災保険を使う際に知っておきたい注意点

新しい金属屋根

火災保険を活用して屋根修理を行う際、トラブルを避けるために知っておきたい「補償のルール」があります。何が対象外になるのか、期限はあるのかといったことを事前に把握しておくことで、期待外れを防ぎ、スムーズに手続きを進められます。ここでは特に重要な3つのポイントをまとめました。

「経年劣化」による不具合は補償対象外

火災保険の対象は、あくまで突発的な自然災害による損害です。「長く使って色あせてきた」「時間の経過で自然に瓦がズレた」といった経年劣化(老朽化)による傷みは補償されません。損傷の原因が「経年劣化」なのか「自然災害」なのか、一般の方が見分けるのは難しいため、プロによる現地調査で正しく診断してもらうことが大切です。

「グレードアップ」分の費用は申請できない

修理を機に、「せっかくなら高性能な屋根材に変えたい」と考える方は多いはずです。しかし、火災保険は「被害を受ける前の状態に戻す(現状復旧)」ための費用しか認められません。
そのため、元の屋根よりも高価な素材に変更するための差額(グレードアップ費用)を、保険会社に請求できません。保険金の上限はあくまで「現状復旧費」まで。それを超える機能向上分は、自己負担となる点を理解しておきましょう。

申請には「3年の期限(時効)」がある

火災保険の請求権には、原則として「被害発生日から3年」という時効があります。屋根の被害は普段見えないため気づきにくいものですが、3年を過ぎてしまうと「いつの被害か証明できない」などの理由で、申請が難しくなるケースが増えます。ただし、被害日時や原因が明確に証明できる場合は、例外的に認められることもあります。
時間が経つほど劣化か災害かの判別も困難になるため、台風や雹(ひょう)の後に少しでも気になる点があれば、早めに点検を依頼するのが安心です。

火災保険の申請手順とカバー工法に活用するまでの流れ

ステップを踏むイメージ

では実際に、下りた保険金をカバー工法の費用に充てるには、どのように進めればよいのでしょうか。申請から工事着工までの一般的なステップを整理しました。

STEP1:被害状況の確認と記録(写真撮影)

まずは、屋根にどのような被害が出ているのかを確認します。このとき、屋根の上には絶対に登らないでください。慣れていない方が屋根に登るのは転落の危険があるだけでなく、誤って屋根材を踏み割ってしまうと、その部分は「過失」とみなされ保険が適用されなくなることもあります。地上やベランダからスマホカメラのズーム機能を使って撮影するなど、安全な範囲での確認に留めてください。

STEP2:保険会社または代理店へ連絡

被害の確認ができたら、契約している保険会社や代理店へ連絡を入れます。「〇月〇日の台風(強風)で、屋根に被害が出た可能性がある」と伝えると手続きがスムーズです。

STEP3:業者へ「現状復旧費用」の調査・見積もりを依頼

次に、屋根リフォームに慣れた業者へ調査を依頼します。この際、「保険申請を考えているが、実際にはカバー工法で直したい」と正直に伝え、以下の2種類の見積もりを作成してもらいましょう。

・【A】保険申請用の見積もり: 被害箇所を元に戻す「現状復旧」の費用
・【B】実際の工事の見積もり: 今回行いたい「カバー工法」の費用

STEP4:保険会社へ申請書類を提出

業者に作成してもらった「現状復旧の見積書(A)」と「被害状況の写真(報告書)」を、保険会社から送られてくる請求書類と一緒に提出します。

STEP5:保険会社による鑑定(現地調査)

保険会社から「損害鑑定人」が派遣され、申請内容の確認が行われます。被害状況が書類と一致しているか、自然災害によるものかをプロの目でチェックする工程です。専門的な説明が必要になることもあるため、可能であれば施工業者に立ち会ってもらうよう依頼しておくと安心です。

STEP6:審査結果の通知と保険金の入金

審査が完了すると、補償の可否と確定した保険金額が通知され、問題がなければ指定口座に振り込まれます。

STEP7:保険金を元手に修理工事(カバー工法)を実施

保険金が入金されたら、いよいよ着工です。火災保険は「損害に対する補償」として支払われるものなので、使い道は原則自由です。受け取った保険金をカバー工法の費用に充当することに法的な問題はありません。 入金された額を頭金のように活用し、自己資金をプラスして、将来を見据えたカバー工法を行いましょう。

火災保険を利用するときの業者選びで気をつけたいこと

悪徳業者のイメージ

火災保険を使った屋根修理は、家の修繕費を抑えるのに有効な制度です。しかし残念なことに、この仕組みを悪用したり、お客様をトラブルに巻き込んだりする悪質な業者が存在するのも事実です。後悔しないためにも、契約前に以下の3つのポイントを必ずチェックしてください。

「絶対に保険が使える」という業者には警戒を

「必ず保険が使えます」「自己負担0円で修理できます」。このように断定的な言い方をする業者には注意が必要です。 なぜなら、保険が適用されるかどうかを最終的に判断するのは「保険会社(鑑定人)」であり、施工業者がその場で約束できるものではないからです。「まずは調査してみましょう」と冷静に対応してくれる業者の方が信頼できます。

「申請代行」の高額手数料トラブル

「面倒な申請手続きはすべて代行します」という言葉は魅力的ですが、中には保険金の30〜50%もの高額な手数料(コンサルティング料)を請求する業者もいます。

また、口では「保険が下りなければやめてもいい」と言っておきながら、いざ審査に落ちて工事をキャンセルしようとすると、高額な違約金を請求してくるケースもあります。契約書にサインする前に、キャンセル規定や費用の条件を必ず確認しましょう。

「嘘の理由」での申請は絶対にNG

中には、「古くなった屋根でも、台風のせいにすれば保険で直せますよ」と甘い言葉で不正をそそのかす業者もいます。 しかし、経年劣化を自然災害と偽って申請する行為は、保険金詐欺(犯罪)にあたります。

業者の入れ知恵だったとしても、申請した施主自身が詐欺の片棒を担いだことになり、契約解除や返金請求などの重大なトラブルに発展しかねません。不自然な提案をされた場合はきっぱりと断り、信頼できる地元の業者へ相談し直すことをおすすめします。

屋根の火災保険申請に関する「よくある質問」

保険業者に相談する夫婦

火災保険の申請には、判断に迷うポイントが多いものです。ここでは、お客様からよくいただく質問にお答えします。

Q. すぐに修理が必要な場合でも、鑑定まで待つべきですか?

A. 原則として、そのままの状態で待つことをおすすめします。
保険会社の鑑定人が現地を確認する前に修理をしてしまうと、被害状況の証拠(現状)がなくなってしまい、保険金が下りなくなるリスクが高まるからです。
ただし、雨漏りが激しいなど緊急性が高い場合は、ブルーシートでの養生といった応急処置であれば認められるケースがほとんどです。まずは被害状況の写真を撮り、早急に保険会社へ連絡して指示を仰ぎましょう。

Q. 火災保険を使うと、自動車保険のように保険料が上がりますか?

A. 何度申請しても、個人の保険料が上がることはありません。
自動車保険にある「等級制度(使うと翌年の保険料が上がる仕組み)」は、火災保険にはありません。「被災して保険を使った」という理由だけで、契約者様個人の保険料が値上げされることはないのでご安心ください。
なお、近年の自然災害増加に伴い、保険業界全体で保険料率の改定(値上げ)が行われていますが、これは個人の申請有無に関わらず一律で適用されるものです。

Q. 本当に自然災害で傷んだのか、自分では判断できません。

A. 無理に自己判断せず、専門業者に見てもらいましょう。
屋根の傷みの原因を、一般の方が見た目だけで判断するのは困難です。一見するとただの経年劣化に見えても、プロが屋根に登って調査すれば「強風による浮き」「飛来物による割れ」と判別できるケースが多々あります。「もしかして」と少しでも気になったら、諦める前に信頼できる業者へ点検を依頼することをおすすめします。

屋根修理や火災保険のご相談はサーラグループへ

信頼できる作業員のイメージ

火災保険を使った修理は「現状復旧」が基本ですが、せっかく足場を組むのであれば、この機会に「カバー工法」で耐久性をアップさせる選択肢もあります。

一般的に、保険を利用したリフォームは「施工会社」と「保険会社」それぞれとのやり取りが発生し、手続きが複雑になりがちです。 その点、住まいと暮らしをトータルで支えるサーラグループなら、建物の点検から最適な工法のご提案、そして煩雑な保険申請のサポートまで、ワンストップでお手伝いできる体制が整っています。

サーラハウスサポートは、住まいの状況やこれからの暮らしを踏まえた最適な修理方法をご提案いたします。少しでも気になる点があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。

TOP