大切な家を守っている外壁は、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。外壁の劣化を放置すると、雨漏りや建物の構造劣化など、深刻なダメージにつながりかねません。
そろそろ外壁リフォームが必要だと感じたとき、まず思い浮かぶのは外壁塗装ではないでしょうか。しかし、塗装はあくまで表面的な処置であり、クラック(ひび割れ)や劣化が激しい場合、塗装だけでは根本的な解決にはなりません。
そこで注目したいのが、外壁カバー工法です。この記事では、外壁カバー工法の費用やメリット・デメリットを解説。外壁のリフォームを検討中の方は、ぜひご覧ください。
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外壁塗装vsカバー工法|どっちがお得?
外壁塗装は、既存の外壁の上から塗料を塗り重ねる工法です。美観を取り戻すだけでなく、雨や太陽の力で汚れを落とすなど、機能性を付与することもできます。
比較的費用が安く、施工期間も短いことがメリットですが、標準的な塗料の耐用年数はおよそ10年。定期的なメンテナンスが必要で、その都度費用が発生します。
一方のカバー工法は既存の外壁の上から新しい外壁材を被せる工法です。下地の劣化を隠すだけでなく、外壁全体の強度を向上させられます。
初期費用は塗装より高額ですが、耐用年数が30年と長く、メンテナンスの手間やトータルコストを軽減できるメリットがあります。また、外壁材の種類によっては断熱性や遮音性を向上させることも可能です。
30年後の費用を試算
外壁塗装とカバー工法はどちらがお得なのか、30年後に必要な費用を試算してみました。
なお、金額はあくまで試算です。実際の工事費用や金利は施工会社や金融機関により異なります。
外壁塗装を選ぶ場合、1回あたりの金額は安く感じますが、工事費用にローンを利用すると金利手数料が上乗せされるため、30年間で支払う金額は約489万円という結果になりました。10年後には物価や金利が上昇することも考えられるため、費用負担は重くなると考えられます。
一方、カバー工法は1回の金額は高いものの、10年後、20年後の物価や金利の上昇に左右されることはありません。また、30年間で支払う総額は約541万円(※)と、外壁塗装より約50万円高くなりますが、その間リフォーム会社の選定や外壁補修の手間が省けるため、価値ある工法と言えるでしょう。
カバー工法が向いている外壁、向いていない外壁
外壁塗装とカバー工法を比較しましたが、実はどの外壁でもカバー工法をおすすめできるわけではありません。外壁の状態によってはカバー工法では対応しきれない可能性があります。
外壁リフォームに失敗しないために、カバー工法はどのような外壁に適しているのかを、知っておきましょう。
カバー工法が向いている外壁
塗装ではカバーできない程度劣化した外壁は、カバー工法が適しています。例えば、クラック(ひび割れ)が広範囲に及んでいる場合、外壁塗装だけでは根本的な解決になりません。このようなケースでは、カバー工法が有効な手段となります。
カバー工法に向いていない外壁
外壁の激しい劣化に加え、壁の内部や構造体にまでダメージが及んでいる場合、カバー工法はおすすめできません。カバー工法は既存の外壁を下地として利用するため、無理に施工すると不具合を生じる可能性が高くなります。
また、構造体の腐食は建物の強度に関わる重大な問題であり、根本的な修繕が必要です。このような場合は、カバー工法ではなく、外壁の貼り替えや建物自体の改修を検討する必要があります。
外壁カバー工法のメリット
ここでは外壁カバー工法のメリットを紹介します。
コストと手間の削減
カバー工法のメリットは、コストやメンテナンスの手間が削減できる点です。外壁塗装のように度々メンテナンスする必要がないため、費用面でもお得になり、10年ごとに業者を選定する手間も省けます。
さらに、塗装の場合は、10年ごとの工事と足場設置、また、工事に伴う騒音や塗料の臭いなどのストレスも発生しますが、カバー工法なら一度で済みます。つまり、初期費用は高くても、長い目で見ればカバー工法の方が経済的で、生活への負担も少ないといえるでしょう。
断熱性・遮音性向上
カバー工法で外壁を二重にすることで、断熱性や遮音性が向上するのもメリットの一つです。断熱性が向上すると、暑さ寒さが軽減し過ごしやすくなるだけでなく、冷暖房の効きも良くなるため、光熱費削減につながります。
また、遮音性も向上するため、カバー工法は静かで快適な住環境に近づける有効な手段となります。
特に交通量の多い道路や線路に近い住宅など、騒音問題に悩まされている方におすすめしたい工法です。
美しさの持続
カバー工法で用いられる外壁材の中で、特におすすめしたいのが金属系サイディング(ガルバリウム鋼板など)です。カビや苔が生えにくく、クラックが発生する心配がありません。
つまり、特別なメンテナンスをしなくても、施工当初の美しさが長持ちするのです。
また、近年、窯業系サイディングにも高耐候性の塗料が使用されるようになり、美観を長く保てるようになっています。
外壁材の種類によってメンテナンス性や耐用年数は異なるため、施工業者と相談しながら最適なものを選びましょう。
防水性の向上
カバー工法は既存の外壁の上に新しい外壁材を被せるため、クラックや剥がれを覆い隠します。つまり、二重の防水層が作れ、住まいの防水性を高められるということです。ただし、カバー工法により雨漏りを完全に防止できるわけではありません。あくまで防水性を強化するだけなので、仮に「カバー工法で雨漏りの修理もできて一石二鳥」などと提案してくる業者は要注意です。
外壁カバー工法のデメリット【後悔しない対策法も】
外壁のカバー工法にたくさんのメリットがある一方、デメリットもあるため注意しましょう。施工後の後悔をなくすために、知っておきたいデメリットをご紹介します。
初期費用が高い
カバー工法は初期費用の負担が大きいのが、デメリットです。リフォーム用の十分な蓄えがない場合、リフォームローンを組まざるを得ず、月々の経済的な負担が発生することも考えられます。
しかし、外壁塗装よりもコスパが良く、長い目で見ると費用負担を抑えられる可能性もあります。目の前の金額にとらわれず、長期的な視点で判断することが大切です。
既存外壁の下地まで確認しづらい
既存の外壁をそのまま利用するため、下地の状態まで確認しにくいのはデメリットです。懸念がある場合は、施工業者と相談の上、外壁の一部を撤去して下地の状態を直接確認する方法もあります。
もちろん、追加費用が発生する可能性がありますが、将来的な大規模補修のリスクを考えると、事前に確認しておくことで安心感が得られます。
結露やカビの発生
適切に施工されないと、通気性の悪化により結露が発生する可能性があります。結露はカビの原因となり、アレルギーや躯体の腐食を引き起こすこともあるため、軽視できません。
対策としては、既存外壁と新しい外壁材の間に通気層を設けたり、確かな技術で施工してくれるリフォーム会社に依頼したりする方法があります。住む人の健康や建物の寿命につながる部分ですので、リフォーム会社のカバー工法の実績をよく調べてから依頼するなど、確実なデメリット対策を講じましょう。
耐震性に影響を与えることもある
一般的にカバー工法に用いる外壁材は軽量ですが、外壁を二重にすることで重量が増加し、耐震性に影響を与えることもあります。築年数の古い家などは、事前に耐震診断を受けるなど専門家からアドバイスをもらうと安心です。
とはいえ、カバー工法の施工方法や使用する外壁材によっては外壁の強度が増し、耐震性が向上するケースもあります。施工業者に相談し、建物の状態に最適な工法を選択しましょう。
外壁カバー工法の施工の流れ
外壁カバー工法はどのような流れで施工されるのか知っておくと、リフォーム期間中の計画が立てやすくなります。打ち合わせもスムーズになりますので、ぜひ目を通してみてください。
1.現地調査
まずは現地調査で外壁の状態や、必要に応じて外壁の下地の状態まで確認します。外壁の面積や現場の情報をもとに最適な材料を選定し、見積りを作成します。
2.足場設置
外壁材を安全かつ正確に設置するために、足場を設置します。半日程度で足場を組めますが、その間、騒音が発生することを知っておきましょう。
3.既存部材の取り外し
既存の外壁についているダクトカバーや雨どいなど、作業の妨げになる部分は取り外します。
4.下地の取り付け
既存の外壁に、新しい外壁材を取り付けるための下地を設置していきます。
5.必要部材と新しい外壁材の取り付け
先に土台部分や窓、軒、コーナー部などに、専用の部材を取り付けます。その後から、新しい外壁材を下地に固定します。
6.シーリング処理
外壁材の隙間を埋めるために、シーリング処理を行います。
7.部材の再取り付け
外しておいたダクトカバーや雨どいなどを再び設置します。外す際に破損したものは、新しいものに交換します。
8.完了検査
最後に施工に不備がないか確認し、お客様に引き渡します。もし気になる点があれば、検査時に納得するまで質問しておきましょう。
外壁カバー工法でよくある質問
「カバー工法の質問をしたいけど、いきなり業者に相談するのはハードルが高い」と思われる方に向けて、よくある質問をまとめました。
Q.外壁カバー工法ができる家の築年数は?
どの築年数の家でも対応できます。しかし、対応はできてもカバー工法が最適かどうかは別です。
専門業者に既存外壁の状態を点検してもらい、本当にカバー工法が適切かどうか判断してもらいましょう。
Q.屋根と外壁は一緒に施工すべき?
可能であれば、一緒に施工する方がメンテナンスの費用や手間を抑えられます。
しかし、ご家庭によって予算は異なりますので、無理のない範囲で施工することをおすすめします。
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Q.外壁材はデザインだけで決めていいの?
デザインだけで決めるのはおすすめできません。一口に外壁材と言っても、種類によって塗装の種類や保証年数が異なるからです。
また、ご自宅の環境によって適した外壁材が変わってくるため、専門業者に相談し、最適な種類を提案してもらいましょう。
Q.業者選びのポイントは?
カバー工法の実績が豊富で、外壁を中心とした家の構造を理解している業者をおすすめします。業者選びがカバー工法の仕上がりや満足度を左右すると言っても過言ではないからです。
そのためにはホームページなどをよく確認し、カバー工法の実績がたくさんあるかどうか、建築士や外壁診断士など専門知識を持った人が在籍しているかどうか、といったポイントをチェックしてみましょう。
東海地方で外壁カバー工法を依頼するならサーラハウスサポートへ
外壁のカバー工法は、外壁塗装では修復できない傷みもカバーし、なおかつ張り替えよりも安価に施工できます。「外壁のリフォーム=外壁塗装」と安易に選択するのではなく、大切なのはご自宅の外壁の状態に合わせて、適切な方法を選定することです。
東海地方でカバー工法を選択肢とする外壁リフォームや屋根リフォームを検討中であれば、サーラハウスサポートへご相談ください。
カバー工法を中心とした外壁・屋根のリフォームを得意としており、お客様のご自宅にぴったりな方法をご提案させていただきます。
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