「外壁の傷みが気になっているけど、どこから手をつけたらいいか分からない」
「業者に相談したら、高いリフォームを勧められるのでは…」
外壁リフォームは決して安い買い物ではないので、同じような不安を感じている方も多いのではないでしょうか。また、一般的に知られている外壁塗装は、本当にすべての住宅にとって最適なリフォーム方法なのでしょうか。
この記事では、外壁リフォームの主要な3つの方法「外壁塗装」「カバー工法」「張り替え」を徹底的に比較し、ご自宅に最適な方法を見つけるためのヒントをご紹介します。それぞれのメリット・デメリットや、よくある質問にもお答えしていますので、ぜひ参考にしてください。
外壁塗装とは?
外壁塗装は、建物の外壁に塗料を塗り直すメンテナンス方法です。外壁のひび割れや色あせが軽度な場合に選ばれることが多く、建物を保護する機能と、見た目の美しさを保つという2つの役割があります。
メリット
外壁塗装の最大のメリットは、費用と工期を抑えられることです。既存の外壁を解体・撤去する必要がないため、工事期間が1〜2週間と比較的短く、住みながらでもスムーズに工事を進められます。
また、外壁材を交換しないため、材料費や廃材処分費などがかからず、リフォーム費用を安く抑えられるのも魅力です。さらに、塗料の種類が豊富で、色や機能(遮熱や防汚など)を自由に選べます。
デメリット
外壁のひび割れや剥がれが著しい場合、塗装だけでは根本的な解決になりません。見た目はきれいになっても、外壁の機能は元に戻らないからです。また、外壁材を重ね張りするカバー工法や、新しい外壁材に交換する張り替えと比べると、リフォーム後の耐久性の面では劣ります。
なお、塗装の仕上がりは下地の状態に大きく左右されるため、下地処理が不十分だと、塗膜の剥がれやふくれといった不具合につながる可能性がある点にも注意しましょう。
外壁塗装に適した外壁・適さない外壁
外壁塗装は、建物の状態や築年数によってその効果が大きく異なります。
・外壁塗装に適した外壁
築10年程度で大きな劣化が見られない、比較的状態が良い外壁に適しています。この時期にメンテナンスを行うことで、紫外線や雨・風による劣化を防ぎ、建物の寿命を延ばせます。
・外壁塗装に適さない外壁
ひび割れや剥がれなど劣化が進行している場合は、カバー工法を検討しましょう。塗装はあくまで表面を保護するものであり、下地まで傷んでいる場合は、塗り替えてもすぐに剥がれたり、再び劣化が進んだりする可能性があります。
また、雨漏りが発生している場合も同様です。外壁材や下地の交換が必要になるため、外壁塗装ではなく、張り替えやカバー工法をおすすめします。
外壁カバー工法とは?
外壁カバー工法は、既存の外壁を撤去せず、その上から新しい外壁材を重ねて張るリフォーム方法です。「重ね張り工法」とも呼ばれます。
メリット
外壁カバー工法の一番のメリットは、工期が短いことです。既存の外壁を解体・撤去する手間がないため、工期は2〜3週間で張り替えと比べると短く、住む人の負担も軽減されます。また、廃材の処分費用や解体費用が発生しないため、費用を抑えられるのもうれしいポイントです。
さらに、外壁材が二重になるため、断熱性や遮音性が向上し、より快適な住まいになります。もし既存の外壁にアスベストが含まれていても、飛散させず安全にリフォームできるのもメリットの一つです。
デメリット
カバー工法は既存の外壁の上から重ね張りをするため、内部が見られず、下地の傷み具合が確認できないことがデメリットです。心配な場合は、外壁の一部を撤去して壁内部を確認できますが、その分費用が当初の想定より高くなる可能性もあります。
また、外壁材を重ねて張るため、建物全体の重量が増加し、耐震性に影響する可能性があります。そのため、1981年以前に建てられた旧耐震基準の建物のように、耐震性に不安がある場合は、事前に建物の構造をしっかりと診断することが重要です。特に雨漏りがある場合は、カバー工法では根本的な解決にならないため、念入りな調査と専門家による判断が欠かせません。
カバー工法に適した外壁・適さない外壁
カバー工法は、どのような外壁にも適用できるわけではありません。既存の外壁の状態や材質によって、施工できるかどうかが決まり、仕上がりにも大きな差が出ます。
・カバー工法に適した外壁
築20年以上経過し、既存の外壁材に、家の構造に関わるような深刻な問題(雨漏りなど)がなく、ひび割れや塗装の剥がれといった表面的な劣化にとどまっている場合は、カバー工法が適しています。
特に、外壁塗装では補修しきれないようなひび割れや剥がれも、カバー工法なら新しい外壁材で覆い隠せるため、それ以上の劣化の進行を防げます。見た目を一新するだけでなく、住まいの断熱性や遮音性も向上させられます。
・カバー工法に適さない外壁
傷みが下地にまで及んでいる外壁や、既存の外壁材そのものに問題がある場合は、カバー工法は適しません。上から新しい外壁材を重ねても根本的な問題は解決しないからです。また、既存の外壁材が部分的に反ったり膨らんだりして平らではない(不陸がある)場合も、施工不良の原因となるため、注意が必要です。
さらに、既存の外壁がタイル、金属サイディング、トタン、ALC(軽量気泡コンクリート)などの場合、カバー工法はできません。これらの外壁材は、剥がれやすかったり、下地の処理が複雑になったりするため、新しい外壁への総張り替えなど、別の方法を検討する必要があります。
▼【関連記事】外壁カバー工法の事例についてはこちら▼
外壁カバー工法の施工例5選!外壁リフォームの基礎知識も紹介
張り替えとは?
張り替えは、既存の外壁をすべて撤去し、下地を修繕した上で新しい外壁材を張り直すリフォーム方法です。外壁の劣化が著しい場合や、外壁材の種類を一新したい場合に行われます。
メリット
張り替えの最大のメリットは、外壁を根本から修繕できること。既存の外壁をすべて剝がすので、下地の腐食や雨漏りの原因など、普段は見えない部分までしっかりと点検・補修ができます。
また、古い外壁材をより軽量なものに交換すれば、建物への負担が減り、耐震性の向上にもつながります。加えて、外壁のデザインや種類も自由に選べるので、全体的な張り替えで外観の雰囲気を一新できます。玄関周りなど、劣化が気になる箇所だけを部分的に修理できるのも、張り替えの大きなメリットです。
デメリット
既存の外壁を解体・撤去する作業が必要なため、カバー工法に比べて工事期間が長くなるのがデメリットです。一般的に1ヵ月が目安となりますが、工事内容によってはさらに延びるケースもあります。また、廃材の処分費用や解体費用、下地補修費用などがかかるため、費用が高くなる傾向にあります。
もし、既存の外壁にアスベストが含まれている場合は、解体時に飛散するリスクがあるため、特別な飛散防止対策が必要となり、さらに費用が掛かることがあります。
張り替えに適した外壁・適さない外壁
張り替えは、既存の外壁をすべて撤去するため、カバー工法とは異なる判断基準が必要です。特に、建物の状態や近年行われた建築基準法の改正が大きく影響します。
・張り替えに適した外壁
既存の外壁の下地まで劣化が進んでいる場合に最適な工法です。カバー工法では対応できない、雨漏りによる柱の腐食や構造体の損傷など、根本的な問題を解決できます。外壁材をすべて剥がすため、普段見えない部分まで細かくチェックし、補修することで、住まいの耐久性や安全性を向上させられます。
また、タイルや金属サイディング、トタン、ALC(軽量気泡コンクリート)など、カバー工法には適さない外壁材の場合も、張り替えであれば新しい外壁材に交換できます。
・張り替えに適さない外壁
張り替えは、すべての建物に適した万能な方法ではありません。特に、築50年を過ぎるような旧耐震基準の古い家で行う場合は注意が必要です。2025年の建築基準法改正により、「4号特例(※)」が縮小され、大規模なリフォームを行う際に建築確認申請が必要となるケースが増えているからです。
張り替え工事が「大規模な修繕・模様替え」と見なされると、現行の建築基準法(耐震性や断熱性など)に適合させるための追加工事が求められる可能性があります。具体的には、建物全体の半分以上を超える修繕や、既存の防水シートを剥がすような工事がこれに該当します。追加工事が発生すると、費用や工期が大幅に増える可能性があるため、張り替えを検討する際は、専門家による詳細な診断が不可欠です。建物の状態によっては、張り替えよりも建て替えがよいと判断される場合もあります。
※4号特例とは、特定の小規模な木造建築物(2階建て以下、延べ面積500㎡以下など)について、新築や増築、大規模な修繕・模様替えを行う際に、建築基準法の一部審査を省略できる制度です。しかし、この特例が縮小され、これまで審査が不要だったリフォームでも、建築基準法に適合しているかどうかの確認が求められるようになりました。
リフォーム方法ごとに適した外壁・適さない外壁のまとめ
ここまでご紹介してきたリフォーム方法別に、適した外壁とそうでない外壁の特徴を表にまとめました。
【徹底比較】外壁塗装 VS カバー工法 VS 張り替え
3つの外壁リフォーム方法をご紹介しました。これらの情報をもとに、どの工法があなたの家に最適かを見極めるため、主要項目を一覧表にまとめました。比較検討する際の参考にしてください。
カバー工法がおすすめなのはこんな方!
ご紹介した3つのリフォーム方法を比較すると、カバー工法は費用と工期を抑えながら、耐久性も高められる方法であることが分かります。
特に以下のような方には、カバー工法がおすすめです。
・外壁の劣化は気になるけれど、張り替えほど大がかりな工事は避けたい
・コストを抑えつつ、家の断熱性や遮音性といった性能も上げたい
外壁のひび割れや剝がれが表面的なものにとどまっている場合は、まずカバー工法を選択肢に入れてみましょう。
外壁カバー工法のよくある質問
ここでは、外壁カバー工法を検討されている方から寄せられる質問にお答えします。
Q.カバー工法の外壁材はどれがおすすめですか?
A.軽量かつ丈夫な金属サイディングが最もおすすめです。中でもガルバリウム鋼板は、軽くて建物への負担が少ないため、カバー工法に最適な素材とされています。耐久性や耐食性にも優れており、デザインやカラーも豊富なので、好みの外観に仕上げやすいのもポイントです。
最近では断熱材が一体になった「アイジーサイディング」のような商品も人気です。薄いながらも高い断熱性能を発揮するだけでなく、防汚コーティングや耐火性能など、さまざまな機能が付いているため、より快適で安心できる住まいに生まれ変わります。
▼【関連記事】ガルバリウム鋼板ついてはこちら▼
外壁カバー工法はガルバリウム鋼板を選ぶべき?メリットやリフォーム費用まで徹底解説
Q.屋根も一緒にリフォームすべきですか?
A.まとめてのリフォームをおすすめします。
外壁と屋根は、どちらも紫外線や雨風にさらされて劣化が進むため、一緒に工事をすれば、足場代が一度で済むため、費用を抑えられます。外壁の調査を依頼する際に、屋根の状態も一緒に見てもらい、リフォームが必要かどうかを判断してもらうと良いでしょう。
Q.本当に30年間メンテナンスフリーなのですか?
A.再塗装は基本的に不要ですが、定期的なチェックは必要です。
多くの外壁材メーカーは、30年相当の耐久性があるとアピールしていますが、これはあくまで外壁材自体の耐久性を示すものです。シーリング(コーキング)など、紫外線や雨風で徐々に劣化する部分があるため、10~15年ごとの点検とメンテナンスは欠かさないようにしましょう。
Q.カバー工法に助成金は使用できますか?
A.断熱改修を目的とした助成金の申請は、ほとんどの場合難しいのが現状です。
2025年実施の補助事業「子育てグリーン住宅支援事業」を例に挙げると、カバー工法で用いられる断熱材の厚みでは、断熱改修としての要件を満たさないケースがほとんどです。ただし、自治体によっては、特定のリフォームに対して独自の助成金制度を設けていることがあります。お住まいの自治体のホームページを確認するか、リフォーム業者に相談してみましょう。
Q.築30年を過ぎているのですが、カバー工法は難しいですか?
A.建物の状態によります。
築30年を過ぎていても、下地や構造体に深刻な劣化(雨漏りによる腐食など)が見られない場合は、カバー工法でのリフォームが可能です。しかし、経年劣化が進んでいる場合は、下地補修が必要になったり、張り替えのほうが良いと判断されたりする例もあります。まずは専門家による診断を受け、建物の状態を正確に把握しましょう。
Q.建ぺい率がギリギリでも、カバー工法は可能ですか?
A.可能です。
建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積の割合を示すものです。カバー工法は、あくまで既存の外壁の上に新しい外壁材を重ねて張るリフォーム方法であり、建物の面積自体を増やすものではないため、建ぺい率には影響しません。ただし、最終的な判断は自治体によって異なるため、不安がある場合はお住まいの地域の担当窓口に確認することをおすすめします。
カバー工法を選んでリフォームの手間もコストも削減しよう
物価や人件費の高騰によって、10年後、20年後のリフォーム費用は今よりもずっと高くなるかもしれません。この先も長く住み続けたいとお考えなら、初期費用はかかりますが、長期的なメンテナンスコストや手間を大幅に削減できるカバー工法がおすすめです。将来、年金生活でまとまった資金の用意が難しくなることも考えると、今のうちにカバー工法に先行投資することは、将来の不安を解消することにもつながります。
とはいえ、外壁リフォームの最適な方法は、お客様の今後のライフプランによって変わってきます。サーラハウスサポートでは、「この家にあと何年住みたいか」「将来、資産としてどう活用したいか」といったご希望をじっくりお伺いし、お住まいの状態やご予算に合ったお客様一人ひとりにぴったりのプランをご提案いたします。外壁リフォームについてのご相談は、ぜひお気軽にサーラハウスサポートまでお問い合わせください。