
「そろそろ屋根を何とかしないと…」「雨漏りなどの被害が出てからでは遅いかも」と思って調べていると、よく出てくるのが「葺き替え」という言葉です。「具体的に何をする工事なの?」「費用が高額と聞いたけど、本当に必要?」など、失敗や後悔をしたくないと疑問や不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
葺き替えは、既存の古い屋根材を撤去して下地から丸ごと新しくする工事です。耐久性や寿命を延ばす効果は高い反面、費用・工期・生活への影響など、お客様の負担も大きくなりやすいのが実情です。さらに2025年の建築基準法改正の影響で、工事の内容によっては建築確認申請が必要になる可能性があり、手続き・費用面のハードルが上がりつつあります。
この記事では、葺き替えの基礎的な仕組みやメリット・デメリットを整理して解説し、費用と手間を軽減しながら屋根の性能を高められる「カバー工法」という選択肢もあわせてご紹介します。ご自宅の屋根リフォームを検討する際のヒントや参考にしてください。
屋根の葺き替えとは?押さえておきたい基本知識

屋根の葺き替えは、屋根の修理や屋根リフォームの中でも最も大がかりな工事です。表面の屋根材だけでなく、内部の構造まで丸ごと新しくする点が、他のリフォーム方法と大きく異なります。まずは葺き替えを検討すべきタイミングや基本的な仕組みから確認していきましょう。
葺き替えを検討すべきタイミングと劣化のサイン
屋根材にはそれぞれ寿命(耐用年数)があります。一般的なスレート屋根なら約20〜30年、金属屋根なら約20〜40年、日本瓦なら50年以上が目安と言われています。しかし、経過年数だけでなく実際の劣化症状を見極めることが大切です。
例えば、「すでに雨漏りが発生している」「屋根材に大きな割れや欠けがある」「強風や台風で屋根材が剥がれた」「瓦の漆喰が崩れている」といったトラブルがある場合、そのまま放置すると建物内部の木材まで腐食が進み、危険な状態になります。こうしたサインが見られたら、早めにプロによる現地調査を依頼し、適切な応急処置を行うとともに、修理・リフォームプランを提案してもらうことをおすすめします。
既存の屋根をすべて一新するリフォーム方法
屋根の葺き替えは、現在の屋根材(瓦・スレート・金属板など)をすべて解体・撤去し、その下にある防水シート(ルーフィング)や木材の下地(野地板)までを含め、丸ごと交換して新しくするリフォーム工事のこと。表面だけ整える塗装や部分補修と違い、屋根をめくって見えない内部の構造まで一新するのが葺き替えの最大の特徴です。
一般的な工事の流れ
葺き替え工事は一般的に以下のような流れで進められます。
①足場の仮設
作業の安全確保と近隣への飛散防止のため、建物の外周に足場と養生を組みます。着工前には施工会社の担当者がご近所へご挨拶を行うのが一般的です。
②既存屋根材の撤去
現在の瓦やスレートをすべて剥がします。古いアスベスト含有スレートの場合は、専門の処理が必要になります。
③下地(野地板)の補修・新設
腐食や傷みがある場合は新しい建材(木材など)へ交換・補強します。これが葺き替えならではの重要な工程となります。
④防水シート(ルーフィング)の施工
新しい防水シートを全面に張り、雨水の侵入を完全に防ぐ二次防水層を設けます。
⑤新しい屋根材の設置
ガルバリウム鋼板やスレートなど、新しい屋根材を全面に施工して完成です。同時に、雪止めや樋(とい)、破風、軒周りの板金工事を行うケースもあります。
葺き替えのメリットとデメリット

次に、葺き替えのメリットとデメリットの双方を整理して見ていきましょう。いずれも抜本的な屋根リフォームならではの特徴であり、工事を検討する前にしっかり把握しておきたい点です。
最大のメリットは「安心感」
葺き替えの最も大きなメリットは、屋根全体を新品同様の状態にリセットできることです。見えない下地の腐食や防水層の劣化まで含めてすべて解消されるため、工事後は「屋根に関する心配をしばらくしなくていい」という安心感が得られます。
また、重い瓦屋根からガルバリウム鋼板などの軽量な屋根材へ葺き替えることで、建物の重心が下がり、耐震性の向上も期待できます。屋根は家の中でも最も重量(重さ)のある部位のひとつであり、軽くするだけで地震の揺れへの備えにもなります。
事前に知っておきたい3つのデメリット
一方で、大規模な工事ならではのデメリットもあります。主に以下の3点です。
①費用が高額になりやすい
既存の屋根材を全面撤去するため、撤去費・廃材処分費・足場費・下地補修費・新規屋根材費と、費用項目が多く積み重なります。リフォームの中でも高額な部類に入る工事であることは否めません。見積もりは主に以下の項目で構成されます。

中でも見積もりを大きく押し上げる要因になりやすいのが、「既存屋根材の撤去費」と「廃材処分費」です。特に2004年以前に建てられた住宅のスレート屋根には、アスベスト(石綿)が含まれているケースが少なくありません。アスベスト含有材は通常の廃材とは異なる特殊な処理・処分が必要なため、処分費が大幅に高くなりがちです。
②生活や近隣への影響が大きい
工期は一般的な2階建て住宅で1~2週間程度の日数がかかることが多く、天候や下地の補修工事が大規模になるとさらに工期が延びることがあります。解体・撤去工程がある分、他の屋根リフォームと比べても生活への影響が少なからず生じます。特に問題になりやすいのは以下の点です。
・足場と養生シートで家全体が囲われるため、室内が暗くなる・窓が開けにくくなる
・解体作業中の騒音・振動が数日間続く
・古い屋根材の撤去時にホコリや破片が飛散しやすい(近隣への配慮・挨拶が必須)
・アスベスト含有材の撤去時は、飛散防止措置により窓を締め切る期間が生じる
住みながらの工事とはいえ、日常生活へのストレスは相応にあります。
③葺き替えが「オーバースペック(やりすぎ)」になる可能性がある
葺き替えは確かに耐久性に優れた強力なリフォーム方法ですが、すべての状況に適しているわけではありません。例えば、雨漏りが発生しておらず、下地の野地板もまだ健全な状態であれば、わざわざ高額な初期費用をかけて屋根を全部剥がす必要はないでしょう。劣化の症状や原因によっては、葺き替え以外の費用・工期・生活負担を大幅に抑えた方法でも、十分な効果を得られます。
【注意】葺き替えに「確認申請」が必要になるケースも
加えて知っておきたいのが、2025年4月の建築基準法改正(いわゆる「4号特例の縮小」)によって、木造住宅のリフォームにおける建築確認申請のルールが変わったことです。
▶4号特例について詳しくはこちら
具体的には、屋根の葺き替えで改修範囲が垂木にまで及ぶような大規模な工事を行い、かつ改修面積が屋根の総水平投影面積の過半(半分以上)に達する場合には、行政機関への建築確認申請が必要になります。建築確認申請は、工事着工前に建物が建築基準法に適合しているかを行政機関に確認・承認してもらう手続きのこと。この許可が取得できなければ工事を始められません。
確認申請の対象になった場合、構造計算や書類作成などの手続きが発生して工事着工までに時間がかかり、申請諸経費として10~30万円程度の追加費用もかかります。また、現在の耐震基準への適合を求められれば、追加の補強工事も行うことになります。
以上を踏まえて、屋根のリフォームを検討する際は、まず専門家に徹底した現地調査を依頼し、費用相場や工期、確認申請の対象になるかどうかを事前に把握しておくことが重要です。
葺き替えと何が違う?注目される「カバー工法」とは

葺き替えの費用・工期・手続きの大変さを知ったうえで、「もっと手軽に屋根をリフォームする方法はないの?」と感じた方にぜひ知っていただきたいのが、最近主流になりつつある「カバー工法(重ね張り)」です。
今の屋根を活かすカバー工法の仕組み
カバー工法とは、今ある屋根材を撤去せずに、その上から新しい防水シートと屋根材を「重ねて被せる」リフォーム方法です。既存の屋根材を残したまま、見た目や機能を一新する「屋根のグレードアップ」と考えるとわかりやすいでしょう。
工事の流れはおおむね以下のとおりです。
①棟板金・雪止めなどの撤去
新しい屋根材を重ねる前に、既存屋根の突起物を取り外します。
②既存屋根の清掃・下地調整
既存の屋根に付いたゴミや苔を除去し、新しい屋根材が密着しやすい状態に整えます。
③新しい防水シートの施工
既存屋根の上から全面に新しいルーフィングを張ります。
④新しい屋根材の施工
ガルバリウム鋼板などの軽量な屋根材を全面に設置します。次世代のSGL(スーパーガルテクトなど)や、豊富なカラーが選べる製品も人気です。
⑤棟板金などの取り付け
仕上げとして棟部分の板金を新設して完成です。
葺き替えと大きく違うのは、「既存の屋根を剥がさない」という点です。この一点だけで、工事にかかる費用・時間・周囲への影響が大きく変わってきます。
葺き替えとカバー工法の違いは?
カバー工法の魅力は、葺き替えの弱点をそのまま解消できる点にあります。
・費用を大幅に抑えられる
既存屋根を撤去・処分しないため、撤去費と廃材処分費がほぼかかりません。アスベスト含有スレートでも解体せず封じ込める形になるため、高額な特殊処分費も発生しません。その結果、費用を抑えやすい工法です。葺き替えと比較すると数十万円〜100万円近くの差が出ることもあります。
・工期が短く生活への影響が少ない
解体工程がない分、工期は葺き替えより短くなるのが一般的です。既存の屋根を剥がす際の激しい騒音やホコリの飛散がなく、廃材を運び出すトラックの出入りも減るため、近隣への影響を大幅に抑えられます。住みながらの工事でもストレスを抑えやすいでしょう。
・断熱性・遮音性がアップする
屋根が二重構造になることで、断熱材の効果が高まり夏の暑さや雨音が室内に伝わりにくくなります。快適性の向上もカバー工法ならではのメリットです。
・建築確認申請が不要
規模によっては確認申請が必要になる葺き替えと異なり、カバー工法は2025年の法改正後も申請不要のまま変わりません。手続きの手間や10~30万円程度の追加費用を心配せずに工事に臨めます。
カバー工法が選べる屋根・選べない屋根
メリットの多いカバー工法ですが、すべての屋根に対応できるわけではありません。施工できる屋根とできない屋根があるため、事前に確認が必要です。
・カバー工法が適している屋根
◻︎スレート屋根(コロニアルなど)
◻︎表面の凹凸が少なく、新しい屋根材を隙間なく重ねられる比較的平坦な屋根
※なお、屋上やバルコニー、ベランダのような平らな場所(陸屋根)は、FRP防水やウレタン防水などの防水工事が中心となります。
・カバー工法が難しい・向かない屋根
◻︎和瓦・洋瓦など凹凸の大きい屋根
→表面の形状が複雑なため、上から均一に重ねることができません。
◻︎下地(野地板)が腐食・たわんでいる屋根
→土台が傷んでいる状態でカバーしても、固定力が弱く強風で剥がれるリスクがあります。この場合は葺き替えで下地から直す必要があります。
◻︎すでにカバー工法を一度施工済みの屋根
→二重にカバーされた屋根をさらに重ねると、建物全体の重量が増しすぎて耐震性に悪影響を及ぼすため、施工できません。
ご自宅の屋根がカバー工法に対応できるかどうかは、実際に屋根の状態を確認しなければわかりません。専門家に相談し、「カバー工法が可能か」を確かめることが選択肢を広げる第一歩です。
▼【関連記事】「葺き替え」と「カバー工法」についてはこちら▼
屋根リフォームは「葺き替え」だけじゃない!コストを抑えて家を守る「カバー工法」のすすめ
葺き替えとカバー工法、迷ったときの選び方

葺き替えとカバー工法は、どちらも屋根全体をリフォームできる工事方法です。ただし、費用や工期、向いている屋根の条件などが大きく異なるため、「自宅にはどちらが合っているか」を整理して考えることが求められます。以下、その見極めのポイント(判断の目安)をご紹介します。
葺き替えとカバー工法の比較
両者の特徴をわかりやすく比較してみましょう。

上の表からわかるように、費用・工期・生活への負担を抑えたい場合はカバー工法が有力な選択肢になります。一方で、下地まで傷みが進んでいる場合や瓦屋根の場合は、葺き替えが必要になるケースが多くなります。
判断フロー(セルフチェック)
次の3ステップで、ご自宅にはどちらが向いているかをチェックしてみましょう。
・STEP1:屋根材の種類を確認する
◻︎瓦屋根(和瓦・洋瓦など凹凸が大きい)
→ カバー工法は難しく、「葺き替え」が基本となります。
◻︎スレート屋根(コロニアルなど)
→ 「カバー工法」の有力候補です。(STEP2へ)
・STEP2:雨漏りや天井・壁のシミがあるか
◻︎すでに雨漏りしている、天井や壁にシミがある
→ 下地の傷みが疑われ、「葺き替え」になる可能性が高い
◻︎雨漏りはなく、色あせ・苔・ひび割れなど表面の劣化にとどまっている
→ 「カバー工法」のチャンスです。(STEP3へ)
・STEP3:築年数と過去の工事履歴を確認
◻︎すでに一度カバー工法をしていて、屋根が二重になっている
→さらに重ねるのは好ましくないため、次は葺き替えが前提となります。太陽光パネル付きの場合は脱着などの再利用費用がかかります。
◻︎築20年、30年、40年前後のスレート屋根で、一度も大規模な屋根工事をしていない
→アスベスト含有スレートの可能性があり、撤去すると処分費が高くなりがちです。そのため、カバー工法で上から封じ込める方が費用面で有利と言えます。
このセルフチェックで「スレート」「雨漏りなし」「築20~30年程度」がそろう場合は、まずはカバー工法から検討するのが現実的です。
最終判断はプロの「屋根点検」が必須
上述したチェックポイントは、あくまでご自身でできる範囲の目安です。実際にどちらの工法が適しているかを見極めるには、屋根の上や小屋裏から下地の状態を確認する専門的な点検が欠かせません。
・屋根に上がらないとわからない板金の浮き・割れ
・小屋裏側からしか見えない野地板の腐食やカビ
・過去の工事でどのような施工がされているか
これらのポイントを総合的に見たうえで、「カバー工法で十分なのか」「葺き替えが必要なのか」が初めて判断できます。
また、工法の選択は費用や工期に大きく影響します。自己判断で決めてしまう前に、まずは屋根の構造を熟知した専門業者に点検・診断を依頼し、ご自宅に最適な方法を見極めてもらうことが大切です。業者選びの際は、保証や実績などをよく比較してください。
住まいを長く守るための最適な屋根リフォームを

葺き替えとカバー工法にはそれぞれメリット・デメリットがあります。大切なのは、ご自宅の状態とこれからの暮らし方に合った方法を選ぶことです。
物価や人件費の上昇により、現在のリフォーム費用は上昇傾向にあります。築年数が進んでいるスレート・金属屋根であれば、費用と工期の負担を抑えつつ、断熱性や遮音性も高められるカバー工法を、選択肢のひとつとして検討してみる価値は十分にあるでしょう。
その上で、最終的な判断には専門家による屋根点検が欠かせません。サーラハウスサポートでは、「この家にあと何年住みたいか」「将来、資産としてどう活用したいか」といった今後のライフプランをじっくりお伺いし、お住まいの状態やご予算に合ったベストな屋根リフォームプランをご提案します。
また、サーラハウスサポートでは、外壁塗装工事と屋根のカバー工法の組み合わせや、外壁と屋根のカバー工法の組み合わせも可能です。足場を組むタイミングでまとめて施工することで、長期的なメンテナンスコストを抑えるご提案も得意としております。屋根リフォームについてお悩みの方は、ぜひお気軽にサーラハウスサポートまでご相談ください。


